止まった時間を進めるための物語|午前5時47分の時計台〜2018年公演〜【演劇企画ユニット 劇団山本屋】

THEATRE

若干今更になってしまいますが、先日観劇してきた「午前5時47分の時計台」の感想です。

この記事はネタバレを含みます。
※すでに千秋楽を迎えておりますが、本作は2016年から毎年定期公演として続けている作品のため、今後も再演される可能性がございますので、ご注意くださいませ。

作品の基本情報

演劇企画ユニット劇団山本屋
『午前5時47分の時計台』~2018年公演~

作・演出:山本タク

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劇団山本屋『午前5時47分の時計台』公演概要
演劇企画ユニット劇団山本屋『午前5時47分の時計台』~2018年公演~作・演出:山本タク *公演日程・劇場* …

あらすじ

『こんな日がありました。けど、僕達はまだ知らない。』 

阪神・淡路大震災から数年が経った神戸。 

復興した街とは対照的に震災時から時が止まった三人の人間がいた。 

妻を失ったかんべ。生徒を失ったはつみ。妹を失ったみなと。 

一見普通の生活を送っているように見える彼らだが、その胸中は数年経った今でも後悔や自責の念でいっぱいだった。 

ある日、震災発生時刻で止まったままの時計台に偶然集まった三人は、ひょんなことから時の番人と出会い、過去に戻してもらう契約をすることになる。 

その契約内容は三つの決まりがあった。涙を流してはいけない。震災が来ることを人に言ってはいけない。
そして、助けられる命は一つだけ。
それぞれの愛する人を救うべく震災が起きる前に戻った三人。果たして助かる命は…! 

決して忘れてはならない23年前に起きた阪神・淡路大震災の事実を基に、命の尊さ、防災の大切さを今一度訴えかける物語。

公演日程・劇場

【日程】
2018
105()108() 

【劇場】
IMA
(イマ)ホール
179-0072 東京都練馬区光が丘5丁目1−1

IMA HALL イマ ホール
IMAHALLは、ショッピングセンター光が丘IMAにある施設です。

キャスト(敬称略)

千葉 冴太
鈴木 みな / 鈴木 まりあ
板垣 桃子 / 今奈良 孝行 / 兎本 有紀
河村 唯 / 宇佐 卓真 / 窪田 美沙
真嶋 真紀人 / 髙木 聡一朗 / 橘 輝
水野 伽奈子 / 南出めぐみ

太田 彩香 / 望月 真富士 / 浦野 和樹 / 辛嶋 慶 / 立花 このみ
楠 麻白 / 鈴木 千夏 / 上村 南美 / 雲雀 史隆 / 日蔭 良磨
小泉 智雅 / 尾崎 渉 / 酒井 和哉 / 吉永 孝胤 / 東 柊希
丸山 弘貴 / 岡田 陸 / 鮫嶋 樹 / 大竹 一真 / 藤原 聖侑
鴛海 智慧 / 福澤 拓実 / 山地 凜 / 佐野 瑞稀 / 吉岡 優希
和座 彩 / 藤川 加菜 / 柚希 かおり / 小川 オペラ / 永山 優子
松井 美樹 / 三浦 真綺 / 山本 里桜 / 鈴原 紗央 / 中村 唯
足立 愛美 / 仙崎 あすか / 湖中 愛永 / 柳田 京香 / 上村 瑠璃
百合草 絢加 / 安斎 真琴 / 範國 こころ / 松崎 紫織
播磨しげ / 石田広樹

(子役)
神崎 能音 / 渡邉 結衣 / 芳本 空花 / 清田 美桜 / 長安 彩愛

スタッフ(敬称略)

作・演出:山本タク

舞台監督:山田剛史

音響効果:清水れいこ

照明:阿部将之

演出助手:田淵晃基

制作:山口秀樹

企画・製作:演劇企画ユニット劇団山本屋

メインテーマ:花*花

感想

この作品は、冒頭でも書いた通り、2016年の初演から、再演・再々演と続いています。

初演の際に私が特設サイトを手がけたこともあり、個人的にすごく思い入れのある作品です。

そのため、内容は知った上で、「再々演」として、以前の公演との違いを軸にした感想がメインになってしまうかと思いますが、ご了承ください。

大幅なキャスト変更

今年の時計台を語るにあたり、避けることのできない変更点です。

今回、初演・再演で主演を務めていたいしだ壱成さんをはじめ、メインキャストが大幅に変更されています。

以前のようにベテランさんではなく、若手のキャストさんが増えた印象です。
なんと双子の鈴木姉妹は今回が初舞台!

他のお客さんの感想にもありましたが、実際に観るまでは正直不安が大きかったです。

ですが、実際に観てみるとその不安は必要なかったことがわかりました。

もちろんベテランさんと比べると、技術的な面での伸び代はまだまだあるように思えますが、それ故のフレッシュな演技が、とてもうまく溶け込んでいたように感じました。

不変の板垣さん、変化のはつみ先生

先ほどメインキャストの大幅変更について触れましたが、はつみ先生役の板垣さんは初演から変わらず出演しています。

ですが、個人的に今回の公演は、はつみ先生の変化がすごく印象的でした。

というのも、みなと・マヤを初舞台の鈴木姉妹(現役高校生)が演じることで、より等身大のキャラクターが仕上がったため、はつみ先生の二人への接し方が、本当に自分の生徒と接するそれになっていたように思えました。

相手に合わせて演じ方を変える板垣さんの技量に脱帽です。

フレッシュで等身大な双子姉妹

とにかくフレッシュの一言に尽きる二人でした。

特にマヤ役のまりあさんが時折見せる、絶妙にダサいポーズ(褒め言葉です笑)がなんとも愛おしくて大好きでした。
まりあさんの笑顔はとにかく底抜けに明るく、それに涙しそうになるみなとの気持ちがわかります。

みなと役のみなさんは、基本的にとても真面目な印象。
でも時々自然と溢れる笑顔が無邪気で、でもどこか儚い。
うまくみなとを体現できていたように思えます。

逆に、過去のシーンが等身大の高校生であるが故に、みなとが大人であることを表現するシーンでは、初演・再演の尾崎姉妹との違いを感じた部分もありました。

マヤの「どうりで目尻にシワがあると思った」というセリフに対してのみなとのリアクション、みなさんはマヤの顔を見ながら目元に手を当てて反応していました。

それに対し、初演・再演でみなとを演じた尾崎亜衣さんは、とっさに後ろを向くことでマヤから顔を隠します。

高校生と大人との反応の違いを出す技術はさすがの尾崎姉妹といったところかと思います。

かんべさんのダメ親父っぷり

今回かんべさんを演じた今奈良さんは、ダメ親父感がすごく出ていて良かったです。

事業に失敗し、借金を抱え、こんなダメな自分でもはなよさんは一人の男として、ずっと愛し続けてくれている。

だからこそはなよさんを失うことへの恐怖、失った時の堕落、その辺の心象をうまく表現できていたように思えます。

声色の使い分け等、細かい技術もさすがでした。

カイロスの人間臭さ

悪い意味ではないです。むしろ良かったポイント。

今回カイロスを演じた千葉さんは、冒頭から割とお茶目なイメージで演じていました。

中盤のお酒に飲まれる展開への布石として、納得しやすいキャラクターになっていたかな、と思います。

時計台に限らず、山本屋の作品は、非日常の中に垣間見える人間臭さが肝だな、と思っており、そこが好きな部分でもあります。

設定はファンタジーでも、舞台上でそのキャラクターが実際に生活し、生きているのを感じられます。

最後に

色々な事情が重なり、なかなか大変だとは思いますが、やはりこの作品は神戸で観たいな、という思いがあります。

初演の時は神戸で観ましたが、終演後、劇場から出た時に広がる神戸の町並みを見た瞬間、ジンとくるものがありました。

私は劇場から出た瞬間のあの光景も演出の一つとして捉えています。

とても好きな作品なので、これからも末長く続けていってほしいと思います。

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