風を切り、空と海の間を飛ぶ感覚、正に味わってきました。
なんだか海に行きたくなりました。
セーリングが今熱い!
作品の基本情報
演劇企画ユニット劇団山本屋
CUWT project vol.0.5
風を切れ2019
作・演出:山本タク
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あらすじ
「風どこから来るのだろう」——
とある会社に勤めていた女性「アザミ」は、ある事件をきっかけにそれまでの担当を外されて任務を与えられる。「セーリングをお前の手でメジャースポーツにするんだ」——。
セーリングを愛してやまない“アザミ”は、昔セーリングで栄えたものの、今は過疎化が進み寂れた街と、その街に賑わいをもたらしていたセーリングに、かつての輝きを取り戻すため「アイドルセーリングチーム」を作って宣伝することを決意した。しかし、ストイックな競技であるセーリングに対しての、そのような企画に乗ってくれる選手は一人もおらず、“アザミ”は途方に暮れていた。
そんな時、江ノ島の海でひとりの男と出会うのであった。
その男は“葵翔”類い稀な身体能力の高さと、ビジュアルの良さを見込んで彼をスカウトし、自分が担当するヨットスクールに連れてきたところから物語が始まる。そこにはマリンスポーツとは無縁の男たちがはびこっていた。だが、オリンピックの1回目から公式種目とされている「セーリング」は、知れば知るほど、複雑かつ人間の生き方について考えさせられるスポーツだと気付き、メンバーは悪戦苦闘をしながらも、地球の一部になるこの「セーリング」の魅力に取り込まれていく。
戦略、体力、自然、仲間との絆。一癖も二癖もある連中が、葵い海の上で情熱に汗を光らせる青春マリンスポーツドラマ。
公演日程・劇場
【日程】
2019年6月26日(水)~7月3日(水)
【劇場】
ラゾーナ川崎プラザソル
〒212-8576
川崎市幸区堀川町72-1ラゾーナ川崎プラザ5F
キャスト(敬称略)
久下恭平 / 荒川美穂
佐藤慎亮 / 大谷 誠
藤縄雄大 / 藤井健人
関根翔太 / 栗山絵美
紺谷みえこ / 窪田美沙
八木橋里紗
酒井昂迪 / 西村 優 / 渥美千春
大竹一真 / 田辺江星 / よっつ
奈良いとまん / 古森克宏
伊藤貴史 / 込山 巧 / 野島大貴
佐倉龍之介 / 花瀬琴音 / 中村 唯
朝倉奈珠希 / 高山あずさ
筒井咲惠 / 井上愛理 / 須田スミレ
柚木那夏 / 田村 汐
(子役)
神崎能音 / 大洞雄真 / 涌澤摩央
真嶋 真紀人 / ふじいあきら
スタッフ(敬称略)
作・演出:山本タク
舞台監督:渡邉 歩(RESON)
舞台美術:齊藤樹一郎
音響:吉村日奈子(Sugar Sound) / 田上篤志(atSound)
照明デザイン:柳田充(LEPUS)
照明操作:木下美咲((株)WAVE)
映像:神林裕介
演出助手:田淵晃基
演出部補佐・映像オペレーション:あきりかこ
楽曲提供:犬神情次2号(犬神サアカス團)
ビジュアル:やすだ・たかよ
パンフレット撮影&アートディレクション:圓岡 淳
衣装:車 杏里
メイク・ヘアメイク:髙石 涼太
ビデオ撮影:粕谷晃司(かすや舞台記録)
制作:薄田 菜々子
制作補佐:辛嶋 慶
プロデューサー:山本 卓
共催:公益財団法人 川崎市文化財団 / 川崎インキュベーター
企画・製作:演劇企画ユニット 劇団山本屋
協力(敬称略)
JSAF 公益財団法人 日本セーリング連盟
げんべい
他
感想
去年の初演を見逃してしまった「風を切れ」ですが、ようやく観ることができました。
今年はビーチサンダルで有名なげんべいとのコラボグッズ販売や、日本セーリング連盟の公認になったりと色々パワーアップして帰ってきたようです。
そもそもセーリングって何?
この公演を観るまでは「セーリング」という物を知りませんでした。
正直世間的な知名度もあまり高くないと思います。
この公演も、それを前提として話が進んでいき、主人公のアザミもセーリング知識がない状態で物語が進んでいくので、基本的なルール等を説明してくれる場面があります。
その説明が非常にわかりやすく、かつ興味を惹かれるものとなっていました。
向かい風であっても帆を斜め45度で張ることで前進することができる
この説明だけで 何それすごい と思わせる競技だと思いました。
向かい風で前進できる、という部分については、下記の動画がすごくわかりやすく説明してくれていました。
眼前に迫る迫力の舞台装置
今作では舞台が客席の方まで大きくせり出しており、円形劇場のような感じでそれを客席が囲む形になっています。
せり出した部分にはヨットを模した舞台装置が設置されており、レースシーンではそれらが回転することで、設置されているセイルの部分が本当に風を切っているように見えます。
今回私は上手の前列2列目で観ていたのですが、回転するヨットの迫力は凄まじいものがありました。
前述のヨットとは別ですが、冒頭で中央の舞台上からキャストがシャツをバサバサして風を表現しているシーンがありましたが、その際に客席まで本当に風が届いてきた瞬間、風が流れる海が目の前に浮かんできました。
あの演出はすごく好きです。
外への群読、内への群読
山本屋ではお馴染み、群読が今回もたくさん含まれていました。
ですが今回は、前述した通り舞台の形状も特殊だったため、いつもの山本屋にはあまりない演出がありました。
基本的ないつもの群読、これは外へ向けた群読です。
想いを伝える、ぶつけるシーンではいつも通りの群読でした。
今回印象的だったのが、内側への群読です。
キリサメの兄であるカエデが練習中の事故で亡くなったという話をするモノローグのシーン、ここでの群読は客席の外側にキャストが並び、内側に向けて群読をしていました。
この演出は、前述の想いを伝える群読とは反して、葵やキリサメが内に閉じ込めている想い、外に出したくない想いを表現しているように思えました。
個人的に演出の部分で一番好きなシーンです。
最後に
熱い男たちの暑い夏の青春ドラマでした。
今までの山本屋の中では抜群にわかりやすく、ストレートな内容だったと思います。
たまにはこういうのもいいですね。
来年のオリンピックが待ち遠しいです。