これは演劇ではない、ボカンである|愛しのボカン【悪い芝居】

THEATRE

今回の観劇は久しぶりの悪い芝居、劇場は聖地下北沢、本多劇場でございます。

仕事を在宅でやっていて滅多に外に出ないので、観劇は外に出るいいきっかけになってくれますね笑

【この記事はネタバレを含みます。ご注意ください。】

作品の基本情報

愛しのボカン

主催:悪い芝居

作・演:山崎彬

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あらすじ

もしこれが何かのあらすじなら
「売れない俳優の明日野不発は」
と書き出されてしまう俳優であることは間違いない明日野不発は、早朝のマイクロバスに詰め込まれ深夜ドラマの撮影現場に向かう。自分が演じる役のことを誰よりも考えて撮影にのぞむも、現場で不発は自分の立場をわきまえないおかしなヤツだと思われてしまう。

「売れない俳優の明日野不発は」
という安易な書き出してしまうようなヤツらの目には不発の俳優人生は何も成しえてないように見えるだろうが、
「演劇で世界を変えてみないか?」
と声をかけられ大学で演劇を始めたあの日から、不発は一ミリもブレずに俳優でいた。

ある日不発は、渋谷にある岡本太郎の描いた巨大壁画「明日の神話」の前で、かつて不発が演劇を目指すキッカケとなった大学時代の先輩と運命的に再会し、不発は先輩に連れられ
渋谷アンダーザマークシティへと向かう。

そこには、渋谷の地下を根城に、
岡本太郎を敬愛する無本悶をリーダーとして活動する俳優集団「ボカン」がいた。

その日から不発の俳優人生は
大きく変わってゆくこととなる――。

公演日程・劇場

日程

2022年3月18日(金)~3月21日(月)

観劇日

2022年3月19日(土) 18:00

劇場

本多劇場
〒155-0031
東京都世田谷区北沢2丁目10−15

キャスト(敬称略)

赤澤遼太郎 / 山脇辰哉 / 伊藤ナツキ / 植田順平

東直輝 / 潮みか / 香月ハル / 齋藤明里 / 中村るみ
難波なう / 中西柚貴 / 井上メテオ / 川鍋知記 / 采乃 / 渡邊真砂珠

佐藤新太 / 池岡亮介

スタッフ(敬称略)

脚本・演出 : 山崎彬

音楽 : 岡田太郎

振付 : 潮みか(ボカン劇中歌) / 中村るみ(ボカンラストシーン)
美術 : 竹内良亮
照明 : 勝本英志(Lighting Lab)
音響 : 谷井貞仁(ステージオフィス)
衣裳 : 植田昇明(kasane)
舞台監督 : 土居歩

美術助手 : 佐藤かりん
照明操作 : 勝本英志(Lighting Lab) / 清家玲子
照明助手 : 渋谷日和
演出部 : 尾花宏行
演出助手 : 藤嶋恵 / 川人早貴
アンダースタディ : 畑中華香 / ユガミノーマル
特殊小道具 : 進野大輔

宣伝美術 : 樋口舞子
宣伝写真 : 嶌村吉祥丸
宣伝衣装 : 植田昇明(kasane)
宣伝ヘアメイク : 鶴永チヒロ

web : 植田順平
宣伝動画 : ユガミノーマル
舞台写真 : 田中亜紀
映像収録 : 彩高堂

制作 : 阿部りん / 鈴木ゆか / 廣江ゆづき / 谷口くりあ / たかはしかなこ

感想

悪い芝居の看板俳優である植田順平さんが今回飢田殉平(ウエタジュンペイ)役で出ていたのが面白かったです笑

植田さん自身が常に素の状態で「ボカン」し続けている現れなのか、理由が気になるところですね。

「悪い芝居」と「ボカン」

今回中盤までずっと、演出がいつもの悪い芝居らしくないという違和感を覚えていました。

群読を随所に入れたりとThe演劇な演出が多く、悪い芝居にしては珍しい演出だなぁと感じていたのですが、途中でこれが作中の俳優集団「ボカン」による劇中劇であることがわかり、違和感の正体に納得しました。

劇中劇ではないシーンではいつも通り悪い芝居らしい演出になっていて、しっかりと違いが描かれている点が良かったです。

基本的には常に「ボカン」が演じている作品として作られていたので、最後のカーテンコールも「ボカン」の役者としてキャスト紹介がされていたのが印象的でした。

無本悶と山崎彬と池岡亮介

今作のキーマンの一人であるモンちゃんこと無本悶を今回池岡亮介さんが演じられていましたが、一昔前であれば間違いなく山崎彬さん自身が演じていた人物なのかなという存在でした。

山崎さんの生き写しのようなモンちゃんをうまく憑依させた池岡さん
所作の一つ一つに山崎さんらしさが出ていて素晴らしい演技でしたが、それ故に「スーパーふぃクション」を初めて観た時のような、悪い芝居として何か転換期を迎えたような気持ちにさせられました。

山崎さんの演劇愛

今回の作品は、芝居の上手さや表現力の高さじゃない、いかにその役で「いる」かを大切にしたいという山崎さんの想いが赤澤遼太郎さん演じる明日野不発の行動理念として現れていたように感じました。

芝居とは何か、役を演じるとはどういうことか。
観る側としては、演劇人であればあるほど考えさせられる内容になっていたのではないでしょうか。
役者ではない私としては山崎さんの想いを本当の意味で理解・共感することができないのが悔しくも思えます。

また、作中で「演劇にはなぜパブリックアートが無いのか」というセリフがありました。
個人的にこのセリフがこの作品の全てを物語っているように感じました。

実際に路上パフォーマンスから始まった悪い芝居。
当時の山崎さん「ボカン」したことで自分の中の何かが爆発したのでしょう。

街で何気なく目についた名も知らぬあの人も、もしかしたら「ボカン」しているのかも。。

最後に

初めて悪い芝居を観てからなんだかんだ10年以上になりますが、今までの作品の中でもかなり上位に来るくらい好きな内容でした。

あまりに面白くて気分が良かったので、なぜか帰りにピザを買って帰って一人で食べましたとさ。

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