土と熱と太陽と|DRYuuuu!!!【激団リジョロ】

THEATRE
迫力の舞台美術で、役者の熱と土にまみれて来ました。
全員が熱い物を持っている作品でした。
この記事はネタバレを含みます。ご注意ください。

作品の基本情報

DRYuuuu!!!

主催:激団リジョロ

作・演出:金光仁三

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激団リジョロ
表現者としての在り方を模索し、リアルさと、躍動、心の叫び、激しさ、熱さ、シャウトと爆発と言うハードコア演劇を確立。今、小劇場で飛ぶ鳥を落としては喰らいまくり、リピーター、中毒者が続出の最注目激団。

あらすじ

地底奥深くに閉じ込められた者達が、見る跡も無くなった地上を取り戻すために必死で生き延び、果ては故郷の再生と奪還を目指す、『復興』の物語である。

2013年5~6月にロングランで上演された初演は、劇場を地底の掘削地そのものに見立て、3階~地下1階まである舞台装置を使用。
2t以上の残土や被災地の瓦礫を用い、炭坑が再現された。

リアルな舞台セットと、役者陣のダイナミズム溢れる演技は、被災地への想いが詰まった『復興』への エネルギーを象徴した、まさに光と希望溢れる作品が本作である。

公演日程・劇場

【日程】
東京公演:2018年11月30日(金)〜12月3日(月)
大阪公演:2019年1月18日(金)〜20日(日)

【東京公演劇場】
ザムザ阿佐ヶ谷
〒166-0001
東京都杉並区阿佐ヶ谷北2-12-21

SAMSA ASAGAYA

【大阪公演劇場】
in→dependent theatre 2nd

〒556-0005
大阪府大阪市浪速区日本橋4丁目7-22 インディペンデントシアター2nd

インディペンデントシアター
大阪の民間小劇場「インディペンデントシアター」のサイトです。

キャスト(敬称略)

斎藤このむ / 金光仁三 / 小中文太 / 梅田喬 / 星野桃子

ボンバー浩輝 / 岡本五月 / 大伴一貴 / 松本まどか / 折浜かじき

狐龍 / 神谷勇羽 / 橋本千春 / 河合亜由子

スタッフ(敬称略)

脚本・演出:金光仁三

照明:建部 雅代(リンクス)

音響:村上 隆次

舞台監督:隙間 圭一

舞台美術:JIN

舞台助手:西浩耀

舞台jojo手:サイトゥー・D・コノム

デザイン:moimoi

小道具:タジ・ハン

衣装:コシノサツキ

映像:WHITE HALL株式会社

スチール:折井 康弘

WEB:貴屋 大正

営業・宣伝:komomo

制作:激団リジョロ

感想

劇団山本屋で何度かお会いした松本まどかさんが出演していることもあり、観劇してまいりました。

激団リジョロ、いつも本格的な舞台美術で、ビジュアル的に圧倒させる内容であるというのは伺っており、一度観てみたいなと思っていたので、いい機会でした。

今回はとにかく土!砂埃!これに尽きますね。

圧倒的な舞台装置と大量の土

リジョロといえばやはり舞台美術。

劇場に足を踏み入れると同時に目に飛び込んでくるのは、大量の土と本格的な舞台装置でした。

開演前の前説でもあった通り、公演中は土と砂埃が舞い、それは観客席にも及びます。

観客全員にはマスクが配られ、最前列の席にはビニールが用意されており、飛んでくる土から身を守るように、との説明が。

せっかくなので最前で観ましたが、思っていたほど土は飛んで来なく、個人的にはもっとぶちまけてもよかったんじゃ無いかな、とも思いましたが、砂埃の舞い方は見事でした。

途中、若干目にしみるくらいに砂埃が舞う場面がありますが、それに加えて追加でスモークを炊くことで、実際に舞っている以上の演出がされており、効果的な使い方をされていました。

 

また、土竜の装置の一部がオーバーヒートし、火花が実際に吹き出すシーンがありましたが、本物の火花であるため、金属の焼けた匂いが会場に充満し、そこで本当に機械が動作している臨場感を感じられました。

匂いという意味では、機械油を仕込んでその匂いも充満させたら面白そうだな、とも思いました。

太陽の表現

基本的に、終始地底の暗闇の中、わずかな灯りだけで物語が進んでいきますが、作中で2回ほど太陽光が強く差し込むシーンがあります。

劇場も地下で、実際に太陽光が差し込むことはありませんが、照明の効果で本当に太陽が差し込んでいるように感じられるシーンです。

特にラストシーンでの太陽光はひときわ強く、眩しさ・暑さを覚える程でした。

 

今回の作品のテーマの1つとして、「熱」というものがあるように思えます。

登場人物の想いの熱
土竜の動力源である地熱
そして人々が求め続けた太陽光の熱

各々がぶつかり合っていた尖った熱が、ラストシーンの太陽光で柔らかく、暖かな熱に集約されたような印象でした。

イサギというまとめ役

松本まどかさんが演じているイサギという下の世代のリーダー的存在。

贔屓目なしに私は一番好きなキャラクターでした。

時にみんなに檄を飛ばす、強くてかっこいい女性ですが、その裏で「自分がしっかりしないといけない」という使命感のようなものを感じさせる役です。

下の世代のリーダーであり、同時にブゼンやチョウ等の上の世代との橋渡し的な役割を果たしているイサギですが、上の世代と対峙するときは感情的になってしまうこともしばしば。

下の世代には見せることのできない弱さの部分を、上の世代には思わずぶつけてしまうその姿に、イサギの繊細な心が現れています。

 

ラストシーンで太陽光が差し込む中、ブゼンが在りし日の地上の情景を語るシーンでは、イサギの頬を涙がつたい、太陽光に照らされてキラリと輝いていました。

これまでの苦労が報われ、様々な感情が入り混じったその涙がとても美しく、特に好きな場面でした。

最後に

内容ももちろん面白いですが、やはり圧倒されるのはその舞台美術でした。

その世界で人々が生活している、その情景を見るだけでも楽しめる激団リジョロ。

ぜひ他の作品も見てみたいと思わせる内容でした。

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